事業目的とは?

事業目的とは会社が営もうとする事業の範囲のことです。会社はこの事業目的の範囲内でのみ権利能力を有することになります。これは、会社は事業目的以外の事業をしてはならないことを表しています。

ただし、最高裁の判例によれば、『目的として明記されていない行為であっても、目的遂行に必要であるか又は有益なものであれば事業目的の範囲に属する』とされています。定款などに記載されている事業目的の最後に『前各号に附帯又は関連する一切の事業』などの文言が見受けられますが、この文言がそのことを補完して示していると考えてよいでしょう。

さて、この「事業目的」の内容を好き勝手に決めてもいいのかというと、そんなことはありません。そこには守るべきルールが存在し、それを守らなければ事業目的として認められません。この守るべきルールを守っているのか?その適否を判断するのが、法務局の登記官であります。

では、法務局の登記官は、どのような基準で事業目的の適否を判断しているのでしょうか?その判断基準を以下に説明させていただきます。これを「事業目的の適格性」と呼びます。

事業目的の適格性

1.営利性

会社は、営利性のある事業をしなければなりません。「営利性」とは、利潤の追求を目的にしているかということです。株式会社は営利法人なので「営利性」のない事業をすることができないのです。

例えば、「社会福祉への出資」「政治献金」などを事業目的とすることは、それによって直接利益をあげ得る可能性がないことから、事業目的としては相応しくないことなります。

2.適法性

当たり前のことですが、会社は違法な事業をやることができません。これが「適法性」というものです。例えば、「麻薬の販売」「殺人の請負」などは当然に法律に違反する行為なので事業目的にすることはできません。これらは犯罪とされている行為なので、事業目的にできないことをいちいち説明する必要はないでしょう。

気を付けなければならないのは、士業などの一定の資格を有する個人に限ってその事業を行うことができるとされているものです。例えば、「税務書類の作成業務」などは税理士の専属業務なので、税理士や税理士法人でもない一般の会社が事業目的とすることは税理士法違反になり、事業目的として認められません。

3.明確性

「明確性」とは、その事業内容を見て、他の人がその事業の内容が明らかに分かるのか?ということです。事業目的の適否で一番問題になるのがこの「明確性」です。業界内では当たり前に使っているような用語でも、一般的でない用語は「明確性」において否定され、登記ができないことがあります。一般的な用語かどうかは、「現代用語の基礎知識」や「イミダス」などに掲載されている用語かどうかで判断すれば良いでしょう。これらに掲載されている用語なら明確性があると判断され大丈夫のようです。

これら「営利性」「適法性」「明確性」のことを事業目的の適格性と言いますが、この適否の判断は管轄法務局の登記官になるので、事前に法務局の登記官に確認しましょう。

事業目的の適格性の確認方法

法務局には「登記相談窓口」というものがあります。不動産登記と商業登記の相談窓口が別々にあることが多いので、商業登記相談窓口の方に行きます。
ここからは法務局によって違うと思いますが、相談用紙を渡してくれる法務局があります。その相談用紙に事業目的を記入して、相談窓口に提出してチェックしてもらいます。記入する相談用紙がない法務局もありますので、事前に事業目的を記載したものを持参するとよいでしょう。その場で事業目的の文言がOKかどうかを判断してくれます。
 法務局で確認すると、相談番号や受付番号を知らせてくれたりしますので、メモしておいて下さい。そうでない場合は、相談に行った日付と相談した担当者の名前を控えておいて下さい。これらを登記申請の際に提出する株式会社設立登記申請書の右上にでもエンピツで記入しておくと、事業目的を登記官に事前確認したことの証拠になります。

この法務局での事業目的の適格性の事前確認をやっておかないと、最終的に登記申請が受理されないことがあります。そうなれば、定款の修正も必要になり、もう一度認証手続きをやり直さなければならなくなります。その場合、認証手続きの手数料も再度公証役場に払わなければならなくなることもあります。
ただ、事業目的の文言については、認証手続きをやる公証役場でもチェックしてくれますので、事業目的が原因で登記申請が受理されないということは、正直言って、ほとんど可能性はありません。
しかし、あくまでも事業目的の適格性の最終判断は登記官である、という姿勢を固持している法務局もあるようなので、事前に法務局に確認しておくことに越したことはありません。

【参考】「事業目的を登記官のチェックなしに確実に通す方法」
法務局には、その管轄で登記されている会社の事業目的を見ることができるファイルがあります。ここに記載されている事業目的の中から自分のやろうとしている事業目的と同じようなものを抜き出し、それをそのまま記載すれば、登記官のチェックをわざわざ受けなくても問題はありません。その管轄法務局ですでに登記されている事業目的なわけですから、当然その管轄法務局では、事業目的としての適格性を認められているわけです。

適格性の基準から外れると、事業目的として認められません。この適格性とは、事業目的のルールのようなものです。


この適格性というルール以外にも、営業的側面から考えると、注意しなければならないことが他にもあります。それでは、その辺を次の「事業目的を決める際の注意点」で説明することに致しましょう。

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